不定期連載ノベル・最終回

 こちらは当ブログ開設3周年記念企画・不定期連載ノベルっぽいものの最終回です。これまでの展開はカテゴリ「三周年記念企画」でご覧になれます。
 筆者の偶然にかこつけて、ヒナとナナの因縁?腐れ縁?を描いてきた本企画も、いよいよ最終回。果たして2人は再び出会えるのでしょうか。
 でもって。前回の流れでアン1人だけハブられる形になってしまいましたが、あの状況ではお留守番が必ず1人は必要だろうと言う事、レーネとアイネスは基本的に掛け合い担当としてついてきてしまうだろうという事から、こうなってしまいました。
 アンファンの皆様ごめんなさい。でもしろにーは基本的には主役扱いですし、偶にはいいですよねっ!?(^^;

 それでは、ご覧くださいませ!
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「ひななな-湘南神姫、かく戦えり-最終回

 さて。ヒナは、慣れた足取りであの岩場に到着していた。
 ちょうど1年前、彼女はここで奇妙な神姫と出逢い、そして短い時間の中で大切な事を学んだ。ここは言うなれば「思い出の場所」である。
 にも関わらず、あれからヒナはあの桜色の髪の神姫に会っていない。
 それは単に、ヒナ自身がこの江ノ島を訪れる事がなかったというだけの事であったが、あの時互いに名乗らなかった事で、彼女の側からでは調べようがなかったという側面もまたあった。
 今から思い返すに、調べ事としてレーネにでも頼めば良かったのかも知れないが、そこまでせずとも“いずれまた会えるだろう”と思っていたのが、なし崩しに今日までずるずると延びてしまった格好である。

 だがこの1年の間に、ヒナ自身にもいろいろな出来事と変化が起きていた。
 盟友たちとの様々な冒険と、その中で繰り広げてきた戦い……特に、仮にも神姫バトル世界大会チャンピオンであった者を打ち倒した事は、彼女にとってあらゆる意味で、大きな経験となっている。
 確かにそれは公式記録に一切残る事のない、言わば“私闘”の類であったし、かつその勝利にしても彼女の独力で達成できた事ではなく、この盟友たち……現在砂浜で絶賛お留守番中のアンも含めて……の助けを得ての事であった。
 少し前ならばその事を口惜しいとも思ったろうが、今のヒナはそのようには全く思ってなどいない。
 そう、彼女は知っている。この世界は自分が考えていたよりもずっと広く、そして様々な未知の驚きに満ちているのだという事を。
 神姫バトルにおける勝利の栄光は往々にして輝かしいものだが、“無冠の帝王”である事もまた悪くはないだろう……それが、あれから様々な冒険と戦いの経験を経た後の、率直な心境である。

 だからこそ今、ヒナは無性に“あいつ”を探していた。
 約1年の時を経て、ここまで成長した自分自身を見せてやりたい。あの時はただ驚かされてばかりだったが、今度は驚かせる側になりたい。
 ……そして今度こそ、せめて一撃くらいは当ててやりたい。
 そんな思いが、あれから1年を経た今でもなお燻っていたのだった。


 そのまま、待つ事10分強。


 『ヒナぁ~……いつまでここにいるつもりなんだよぉ?マスターが帰ってきちゃうよ?』そろそろ業を煮やしたらしいアイネスが、岩の上に腰掛けてぶらぶらと足を揺らしつつ不満げに呼びかけてくるが、もちろんヒナはガン無視を決め込む。
 『まぁまぁアイネス。時間的に見て、このくらいならまだ間に合うのです』隣で緑茶ヂェリカンをすするレーネ、こちらはいつもながら泰然としたものである。
 理人邸からこの江ノ島に来る方法は、彼女達も使ったモノレール1本。乗ってしまいさえすれば片道5分程度で充分行けてしまう距離だが、それぞれの最寄り駅からはそれなりに歩くため、往復するとなればモノレールの待ち時間も含めて、最低でも30分は掛かってしまうのだ。
 レーネの言はそれを根拠としての事であり、当初この島での海遊び計画を立案したアイネスの意図を察して、予め個人的にネットを駆使して調査しておいた上での事でもある。
 そして、まさにその時。状況の変化は、突然やってきた。

 『うおおおおおおおーーーーーーーー……っしゃぁあーーーーーっ!』
 頭上からの元気な掛け声に続くは、地を疾る影。陽光に一瞬煌いたそれは、目の前の波打ち際にとぷんっ、と小さな水柱を上げる。
 『わ、なにさ今の!?』『神姫……なのです?』
 『……来たか!』当惑する戦乙女の姉妹をよそに、ヒナは嬉しくも不敵な笑みを自然に浮かべた。

 『およ?そこのストラーフは前に見た顔だねー? 久しぶり、今日は仲間連れかな?』と、水面から顔を出したのは、まぎれもなくヒナの待ち人、あの桜色の髪の神姫だった。
 『えーっ!?ヒナが待ってたのって、もしかしてあのシュメッターリング……?』
 『そうだ。名前は聞いてなかったがな』
 『知らないのです?彼女こそ、この界隈では有名な“海ドボン神姫”ナナさんなのです!』
 さすがにレーネは博識である。ナナという名を持つこのシュメッターリングが、この湘南界隈ではつとに有名な神姫である事を知っていた。
 『そのくらい知ってるよぉ!ったくぅ……』言い返すアイネスも、今日この時初めて知ったヒナの意外な交友関係に驚くばかり。ましてや彼女自身面識のない神姫だったと言う事もあって、興味深げにナナを見ている。

 『へえ。あたし、そんなに有名だった?』波打ち際から立ち上がるナナ。
 今日はその髪と同じ色をしたセパレートの水着を着ている分、華やかなイメージのシュメッターリングに似合わぬ補修痕だらけのボディがひときわ目立つ訳だが、その傷の一つ一つが数々の激戦死闘を経験してきた猛者たる証という事は、戦いを重ね成長してきた今のヒナならばこそ、容易く理解できた。

 『おおよそ1年ぶりだな、会いたかったぞ……相変わらずふざけた格好をしているようだが』だからこそ、ナナに呼びかけるヒナの声は明るい。
 『あはは。そっちこそその格好!もしかして、泳ぎに来たのかな?』
 そう。ヒナはこの時、標準仕様の水着アーマーを着用していたのだった。

 『ふっ。確かにそれもあるが、それ以上にキミとの約束を果たしたくて此処に来た……あの時と同じレギュレーション、いけるか?』
 『うん、いいよ!1対3でもいいけどね!』ヒナの申し入れを、ナナは朗らかな笑顔で快諾する。
 『本当にいいのか?』『うん!』あの時にヒナが見た関節のダメージが見事に補修されているところを見るに、この桜色の髪の神姫はおそらくその言葉通り、今日こそは全力で戦えるようだった。
 『あぁあっ!?だからバトルはなしって、マスターに言われてるじゃんかぁ!っていうか、キミもノるなよぉぉっ!?』アイネスのそんな悲痛な制止も何処吹く風、ヒナとナナはそれぞれの武装をその身に電送し、そして構える。
 『まあ、実を言えばあいつらはただの付き添いだ。またトビに邪魔されてはかなわんからな』
 『なるほどごもっとも!って訳で、悪いけどお空の警戒よろしくね。おふたりさんっ☆』これからバトルを始めるというのに、どこか楽しげな神姫ふたり。
 『だーかーらー!どうしてそうなるのさー!?』『はて。付き添いという意味では、確かにこの立ち位置はあながち間違いとも言い切れませんけれども……』
 そんなギャラリーの反応を横目に、ヒナとナナが互いに浮かべ合うその笑みは、それぞれがこの1年来“戦士”として研鑽を積んできた証であり、そして今日という日を心待ちにしていた証でもある。
 “今回は、いいバトルになりそうだ”そう思うヒナであった。

【おことわり】
 この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
 また、この物語は「武装神姫」シリーズ関係の二次創作物であり、同シリーズの公式設定等を基にしてはおりますが、作者の解釈により若干の差異の生じる可能性がありえます。
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プロフィール

翠騎

Author:翠騎
日々を趣味の探求に生きる旦那芸の人。

神姫オーナーとしてはパートナーのシュメッターリング3rd改「ナナ」を中心に、広く浅くやっております…といいますか、むしろナナの方が知られていたり(^^;
(その他の神姫たちはこちら
最近は30数年ぶりにガンプラ熱再燃、旧ザクアメイジング作ったりとか妖怪グレイズ置いてけだったりとか。
あと、ミニ四駆も始めたてほやほや。

もし何かございましたらこちらまで、お気軽にどうぞ!
(スパム回避のため画像になっておりますので、ご注意くださいませ)

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