不定期連載ノベル・第7回

 こちらは当ブログ開設3周年記念企画・不定期連載ノベルっぽいものの第7回です。これまでの展開はカテゴリ「三周年記念企画」でご覧になれます。
 物語は1年飛んで、アニメ放映後の時間軸におけるストラーフ(ヒナ)たちが登場します。理人家の4人の神姫の中ではアイネスがお気に入り(シャルカの扱いのせいで、そうは見えないかも…?)の私ですが、今回ヒナのお話になったのは、実は東京駅TBSストアでのイベント特典と一番くじの結果が、揃って彼女だったからなんですね~。
 で、そこまでヒナが出てくるという事は、きっと彼女をネタに何か書けと言う天の声なのだろうと勝手に推測し、我が家の3周年記念企画であるという事も手伝って、看板娘・ナナと絡めたお話をでっち上げてみました次第。アニメの舞台が湘南界隈である(らしい)というのも、また都合がよかったですね。
 もし次の機会があったら、今度はアイネスネタで一本書いてみたいところです。

 それでは、ご覧くださいませ!
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「ひななな-湘南神姫、かく戦えり-第7回-」

 2042年夏。輝く太陽の下、潮風がいよいよ熱を帯びる季節。
 そんな中、ここ江ノ島の磯を3人の神姫が歩いていた。

 ひとりは、かの夏のストラーフ。やや離れて、別の神姫がふたり。
 まずひとりめはストラーフと同じ色調でアンダースーツ状塗装が施され、紫の髪を両サイドで縛った神姫。小柄なボディである分歩調も速く、まるでストラーフに追いすがらんばかりである。
 それに続くもうひとりは、大柄なボディに青と白のアンダースーツ状塗装、そして流麗な金髪を靡かせた神姫。こちらは一歩歩く度にその豊かな胸パーツが、まるでプリンのように大きく揺れている。
 アルトアイネスとアルトレーネ。所謂「アルト姉妹」などと俗称される彼女達は、ストラーフとほぼ同時期に発売されたディオーネ社製の傑作機、戦乙女型の姉妹である。
 ここでは彼女達に与えられた名に従って、それぞれアイネス/レーネと呼ぶ事にしよう。

 『……だから、どうしてついてくる』
 『それはさっき説明したじゃんかぁ。理由を突き止めるまで、ボクは帰らないからね!』
 『アイネスに同じなのです♪』
 このアイネスとレーネこそ、“ヒナ”という名を持つこのストラーフが、ここ一年余り共に苦楽を共にしてきた同僚……いや、盟友達である。
 ちなみにこの他にももう1人、盟友たる神姫はいるのだが、彼女はちょうど今この場には来ていない。


 時は、十数分ほど前に遡る。


 「あ、あれ?」
 江ノ島を臨む砂浜。ビーチシートの上でバッグを開いた少年が、その時困惑気に上げた第一声。
 そのバッグの周りを取り巻くようにして立つのは、4人の神姫。
 ストラーフ、アイネス、レーネ、そして少年の一番近くに立って彼を見上げる金髪の神姫は、フロントライン社製のベストセラー、アーンヴァルMk.2である。

 『どうしたんですか、マスター?』アンという名の彼女が、いつもの調子で彼に聞き返す。
 いつもの調子で、というのは、彼女と彼との付き合いがこの4人の中で一番長い事に起因する。ストラーフと同時期のMk.2タイプボディでありながらというのは実に奇妙な話だが、どうも本来は初代ストラーフと並ぶ武装神姫黎明期の傑作・初代アーンヴァルから、理由あって現在のボディに再構成された、という事らしい。
 「……な、ない。ないっ!?」アンの問いかけにも関わらず、4人の目の前でなおもバッグの中を慌て顔でまさぐっていた少年は、やがてがっくりと肩を落とした。
 その落胆ぶりを見て、流石のストラーフも質問せざるを得ない。
 『何がないんだ、マスター』
 「水着だよ。参ったなぁ……きっとバッグに入れるつもりで、ベッドの上に忘れて来ちゃったんだ」
 『えぇーっ、またぁ?』アイネスが言うのも無理はない。彼女達の最愛のマスター、理比理人の最大の欠点は「忘れ物をしやすい」事であり、今回もご多分に漏れずその悪癖が炸裂してしまったという訳だ。
 もっとも、だからこそ彼女たちもこのマスターに対して、いっそう仕え甲斐があるというものなのだが。

 そう。この日、理人とその神姫たちは、連れ立ってこの江ノ島界隈まで海水浴に来ていたのだった。
 それだけに当然、バッグの中にはバスタオルと神姫サイズの海水浴キット一式が入っていたのだが、肝心の理人自身の水着だけはどこにも見当たらなかった……というのが現状である。

 『まあまあアイネス。去年に比べればわたし達が忘れられなかった分、まだいいのです』
 人差し指を立ててレーネが言うのは、去る年の夏に沖縄へと旅行した時の思い出なのだが、それはそれでまた別のとんでもなく長い話になるため、ひとまずこの物語上ではさておく事にしておこう。
 周りを見れば、大勢の海水浴客で芋でも洗うかのような犇き合いぶり。今ここを離れてしまっては、二度とこの場所を取る事は出来ないだろう。
 『だからってさぁ…』今回の海水浴計画を立案したアイネスは、もちろんご機嫌斜め。そんな彼女を横目に、アンは理人に『どうしますか、マスター?』と問いかけた。

 「うん、ごめん。ちょっと取って来るよ。皆はここで待ってて」
 『わかりました、マスター』『……ああ』『はぁーい』『了解なのです』
 これもまた、理人家ではすっかりお馴染みの流れである。

 理人の姿が砂浜から見当たらなくなった頃、ヒナは不意に切り出す。
 『……アン、すまんがここは頼む』
 『えっ、どうしたんですかヒナ?』『私には少し、行きたい所がある』
 『行きたいところぉ~?ヒナぁ、またひとりで勝手に行動しようってつもりぃ?』と、そこにアイネスが割り込む。
 アイネスからすればいつもの投げかけだが、この「ハチャメチャクイーン」などと渾名される神姫が事態に絡むと何故かトラブルが発生しやすくなるというジンクスもあるので、ヒナとしては今回アイネスには留守番をしてもらう心積もりでいる。
 『安心しろ、別に怪しい用事じゃない。あるかどうかも分からない事だ、直ぐに済ませるさ』
 だからこそ、ヒナはそう言ってかわそうとするのだが、その心情を知ってか知らずか、アイネスはなおも食い下がってきた。
 『いいや。ボクの勘はそうじゃないって言ってる……そうだ!怪しくないかどうか、このボクが見届けてあげよう!』
 聊かよろしくない流れにヒナが閉口しかかった時、さらにその状況を混沌とさせる主が口を開く。
 『ちょっと待って下さいなのです』『何さ、レーネ?』
 『アイネスひとりでは心配なのです。ここは、このわたしも姉として同行するのです』
 黙っていれば容姿端麗な美神姫で通じるレーネだが、その反面、天性のトラブルメーカーとしての属性も一級品、それこそアイネスなどの比ではない。むしろ真のハチャメチャクイーンこそレーネであり、それに比べればアイネスなど、トラブルメーカーというよりむしろマキコマレーターだろうというのが、付き合いを深めた末確信に至ったヒナなりの見解であった。
 ましてやその2人がタッグを組んだ日には、それこそ「ハチャメチャが押し寄せてくる」と言うレベルでの大波乱になるであろう事は、火を見るよりも明らかである。
 『ああっ、また妹扱いするぅ!それにレーネの方が、独りにしとくとよっぽど心配じゃんか!第一、姉とか妹とかはそういう設定ってなだけだって、何度言ったら……』

 『……って、ああっ!何時の間にぃ!?』アイネスとレーネがいつもの姉妹漫才をしている間に、ヒナはその場から歩き出し、既に相当の距離にまで離れてしまっていた。
 もちろん、ヒナとしてはいつもの流れを察し、姉妹が言い合いに拘泥している隙にとっとと抜け出してしまおうと言う考えであった事は、今更言うまでもない。
 『あそこなのです!』しかし、こう見えて目ざといレーネは、すぐヒナを発見する事が出来た。
 『逃がすもんか!行くよ、レーネ!』『はいなのです!すみませんが、ここはお願いするのです!』それだけ言って、黒と白の姉妹神姫はヒナを追い掛けていってしまう。
 『えぇーーっとぉ……』嵐のような状況の変化にイマイチついていけず、自然その場にぽつねんと残される形になってしまうアンだった。


 もっとも。
 ここで「置いてきぼりの刑」を食らった事が原因で、彼女は水着を持って戻ってきた理人としばし2人きりのスーパードキドキタイムを過ごす結果となるのだが、それもまた今はさておこう。

【おことわり】
 この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
 また、この物語は「武装神姫」シリーズ関係の二次創作物であり、同シリーズの公式設定等を基にしてはおりますが、作者の解釈により若干の差異の生じる可能性がありえます。
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プロフィール

翠騎

Author:翠騎
日々を趣味の探求に生きる旦那芸の人。

神姫オーナーとしてはパートナーのシュメッターリング3rd改「ナナ」を中心に、広く浅くやっております…といいますか、むしろナナの方が知られていたり(^^;
(その他の神姫たちはこちら
最近は30数年ぶりにガンプラ熱再燃、旧ザクアメイジング作ったりとか妖怪グレイズ置いてけだったりとか。
あと、ミニ四駆も始めたてほやほや。

もし何かございましたらこちらまで、お気軽にどうぞ!
(スパム回避のため画像になっておりますので、ご注意くださいませ)

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